『キングダム』は2006年から「週刊ヤングジャンプ」(集英社)で連載が始まった漫画で、紀元前、春秋戦国時代…、戦国七雄の一つ「秦国」で、天下の大将軍を夢見る少年・信と、後の始皇帝・第31代秦王嬴政を中心とした第17回手塚治虫文化賞マンガ大賞受賞作品となった漫画ですが…。
『キングダム』がつまらない3つの理由
作者・原泰久氏によって描かれ、アニメ・実写版映画、さらにはスマホゲームなど人気作と呼ぶに相応しいコンテンツも次々と展開される『キングダム』ですが、一部では「つまらない」とした声も聞こえています。
絵を受け付けない…、史実を基にしていることにより、ストーリー進行の遅さや、戦闘描写とそれ以外の「差」も上げれらるようですが…。
- 絵が無理
- ストーリー進行が遅い
- 戦闘描写以外のマンネリ化
理由1:絵が無理
今でこそ名実共に「人気漫画」の仲間入りを果たした『キングダム』ですが、初期の頃には読者アンケートで票が集まらず連載打ち切りの候補に上がるなど、不人気漫画のレッテルが貼られた時期もあったそう。
そんな中、作者の原泰久氏が師匠と仰ぐ、名作スラムダンクの作者・井上雄彦氏に相談したところストーリーではなく、「主人公の黒目が小さい」と絵に対するアドバイスを受け、ストーリー重視のスタンスから絵に向き合うスタンスへと変化したそうです。
その変化を読者が敏感に感じたからこそ、現在の人気漫画という地位へ登り詰めたわけですが、当然ながら、漫画初期は変化に至る前のもの…。連載開始当時の絵のタッチで脱落してしまった人も少なからずいるようです。
理由2:ストーリー進行が遅い
キングダムの特徴として挙げられるのは、豊富な人間描写です。主人公の信や彼に関わる多くの登場人物たちは、それぞれの過去や性格、目指す理想が丁寧に描かれており、それぞれが目指す理想や夢、信念を胸に戦います。この人間描写を通じて、読者は物語に深く没入し、様々な感情を共有します。
その弊害とも言えるのが、登場人物の多さやストーリー展開の遅さ、各エピソードの長さなどが指摘されています。このような意見は、リアリズムとエンターテイメント性のバランスを保つ難しさを如実に示しています。
一部の読者にとっては、詳細な描写や複雑な人間関係が物語の深みを生むものであると感じられますが、別の読者にとっては逆に内容が複雑すぎて追いつくのが大変、といった意見もつまらないと感じる人の意見かもしれません。
理由3:戦闘描写以外のマンネリ化
キングダムの醍醐味とも言える戦闘シーン。一対一の戦闘だけではなく、大規模な軍団同士の戦闘も描かれ、その壮大さは圧巻と言わざるを得ません。この大規模な戦闘シーンにおいては、詳細な軍師たちの策略や戦術が語られることもあり、読者を引きつける要素になっています。
一方では、戦闘シーン以外の知略や陰謀が蔓延る政治的内容のエピソードや、各キャラクターのバックボーンを解説するようなエピソードに物足りなさを感じる読者も居るようです。
物語の充実という意味では必要な要素とは言え、手に汗握る戦闘シーンとの「差」につまらないと感じてしまうこともあるようです。
実際にX(旧Twitter)では、
など、戦闘シーンとそれ以外のシーンで、つまらなさを感じる声があるのは間違いないようです。
『キングダム』が面白い3つの理由
そんな一部ではつまらないとした声も上がる『キングダム』ですが、そうは言ってもやはり人気漫画。つまらないとした意見以上に面白さを語る声が多いのも事実です。
今度は、そんな『キングダム』の魅力についても掘り下げて行ってみましょう。
- キャラクターの成長
- 手に汗握る戦闘シーン
- 陰謀渦巻く乱世の混沌
理由1:キャラクターの成長
キングダムは、主人公・信が大将軍という夢を追い求め、次々と立ちはだかる試練を乗り越えていく過程が描かれています。
信の戦場での勇猛さや、彼に寄り添う仲間たちの存在によって成長していく姿は、読者の心を掴み、彼らの個性や生き様が詳しく描かれているからこそ、人間味溢れる物語となっています。
主人公・信をだけではなく、出てくるキャラクター達の成長の過程、更に彼らが繰り広げるドラマは、間違いなく『キングダム』の面白さを支える要素の一つでしょう。
理由2:手に汗握る戦闘シーン
先にも触れましたが、戦闘描写の壮大さは『キングダム』の魅力の一つ。
ただ単に力強い戦闘シーンを描いているだけではなく、軍師たちが策略を巡らせ、戦闘を有利に進めるための手練手管を用いる様子が描かれています。これらの「戦略」と「戦術」を理解し、それに合わせて物語が展開する様子を読み解くことは、『キングダム』をより深く楽しむコツと言えるでしょう。
軍師の視点で読む、あるいは戦った兵士の視点で見るなど、角度を変えて読むことも新たな面白さの発見に繋がることもあるかも知れません。
理由3:中毒性抜群…乱世の混沌
『キングダム』の舞台は、春秋戦国時代の中国です。この時代の中国の動乱と繁栄を史実ベースに巧みに描き出し独特の世界観を形成しています。
各国の力関係や争い、領土問題など現実的な問題を背景に、様々な人物や集団が入り組んだ関係が織り成す混沌は一度読み始めたら止まることができないほど中毒性があるのです。
キングダムに登場する人物や国家が実際の歴史にどのように影響を及ぼしたのか、または存在したのかを探すのも楽しむ秘訣かも知れません。
歴史の知識と『キングダム』をリンクさせることは、作品への深い理解をもたらし、読者の楽しみを広げる糧となるでしょう。
『キングダム』人気になった背景
『キングダム』が当初の打ち切り候補から人気漫画へと変貌したのは、元々、作者の原泰久氏が抱えていたストーリーへのこだわりに加え、井上雄彦氏による主人公・信に向けた絵のアドバイスでじわじわと人気がついてきたこと。
更に、テレビ朝日で放送された「アメトーーク!」での「キングダム芸人」も人気を加速させた理由と言えるかも知れません。
人気が出ているからこそ、番組に取り上げられるというのはあるかもしれませんが、『キングダム』に手を出していなかった視聴者からすれば、作品の魅力を初心者に向けて丁寧に説明してくれる同番組の企画は大きなきっかけになったのではないでしょうか
結論『キングダム』はつまらない?面白い?
ここまで見ても分かる通り、「つまらない」という意見は、『キングダム』という作品の質そのものというよりも、作品が持つ特質と個々の読者の好みが合致しない事が原因であるように思います。
つまり、「キングダムがつまらない」は一定の視点から見た限定的な意見であり、必ずしも全ての読者に当てはまるわけではないと言えるでしょう。
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