不覚にも冒頭で泣かされそうになってしまった。理由は我ながら判然としないのでなんとも言えない。
このドラマを見続けて一つ思ったこと。それは「このドラマは新しい人間関係への示唆」ではないだろう…ということである。
真の平等とはこのことなのか?と思うが、現実問題は未だ理想に過ぎないのかもしれない…と思うと悲しくなるばかりだ。
社会派ドラマの様相が…
『日曜の夜くらいは…』(テレビ朝日、以下『日ぐら』)の主演は清野菜名で、脇には岸井ゆきのと生見愛瑠。脚本は『ビーチボーイズ』『最後から二番目の恋』(ともにフジテレビ)を手掛けた岡田惠和のオリジナル作品である。
古ぼけた団地、郊外の借家、街中を空しく走るタクシー。時代に取り残され、活気を失い、どことなくもの寂しさが漂うどこにでもある光景に、特筆すべき要素はない。
テレビ朝日『日曜の夜くらいは…』より
ふと普段の生活の中に、こんな哀愁を感じたことはないだろうか?そんな人には刺さるドラマと言っても過言ではない。
初回世帯平均視聴率は5.6%。第2話以降の視聴率が今のところ発表されていないのが謎。私が観測する限りにおいては好評な意見が多いのだが?(ビデオリサーチ調べ、関東地区)
第8話ざっくりあらすじ
「3人でカフェやろうよ!」という目標が定まり、具体的な話が進行し始めた、岸田サチ(清野菜名、以下サチ)と樋口若葉(生見愛瑠、以下若葉)、野田翔子(岸井ゆきの、以下翔子)の3人。
バイト先のレストランカフェが従業員不足で苦境に陥り、それまでの恩も感じているサチは入れるだけシフトに入り恩返しをしていた。
その仕事に忙殺されながら、これからのカフェ経営のことや家族関係、それから仲間のことなど…かえって頭はスッキリと冴えわたり道筋を見つけることができたのだが、未だバイト先が落ち着かず頭の中にあるものを皆に伝えることができず「このままでは忘れてしまう…」と、若葉を通じて皆に伝えることに。
翔子や3人と共同経営者になる市川みね(岡山天音、以下みね)は皆と同じ団地に住むことになり、サチの母・岸田邦子(和久井映見)は自身が作るカレーをメニュー展開できるように、若葉の祖母・樋口富士子(宮本信子)は以前住んでいた家のデザインをした経験からカフェの内装などを手伝うことになった。
それぞれがそれぞれの得意分野で活動し、皆の苦手分野もフォローできるような体制を作り上げ…カフェ開店へ向け一致団結。いよいよ本格始動となったのだが……。
新しい社会の枠組み…
私ごとで恐縮ではあるが、盆暮正月くらい親戚の元へ顔を見せに行くと決まって「未だ独り身かい?」「彼女や結婚はしないのかい?」などと言われるのが恒例である。うざいことこの上ない。
正直言ってこの「男女で一緒になるべし」「家庭を持って1人前」的な考えは時代遅れだろう。いや、その考えは良いが口に出して…あまつさえ押し付けるのはどうだ?
彼女たちの人間関係は、これからの社会において理想ではないだろうか。
男も女も、年齢も立場も…そんな名称に縛られることなく、それぞれが程よい距離感で過ごし必要な時には頼る。同じ将来を共有できれば上出来だ。
サチ・若葉・翔子は同じ部屋に住み、男女の垣根を越えたチームとなったミネは違う階に…そして年齢を超えサチの母と若葉の祖母も同じ部屋に…と、一つの団地を舞台に理想の形が形成されている。
このドラマの登場人物は、その理想像を見事に構築した成功例を見せてくれているように思う。
もちろんこの形には未婚率や出生率の低下など不都合も多いが、気の合う仲間同士で社会に貢献しお互いがお互いを助け合う形は、それらの問題に変えられない生活の質が得られるだろう。それこそがこれからの人類に欠かせない要素ではないだろうか?
社会は「年齢や性別だとか障がいだとかで壁があってはならぬ」などと頭で考えてはいるものの、現実世界はおかしな方向へ進んでいるようにしか見えず辟易していたが、このドラマを観て少しは溜飲が下がった次第。
主人公たちだけではなく、サチの母親も若葉の祖母の楽しそうな顔が全てを物語っているだろう。
先立つもの…とはよく言ったもんだ
まぁ…これらの理想形の構築ができたのも、彼女らは宝くじで大金を手にしたからであり、サチが「結局は金か…」とつぶやいた言葉が全てを物語っている。
普通に暮らして普通に社会の枠にハマっていては、きっと実現できなかっただろう。これまでの鬱々とした生活の繰り返しにすり減っていくばかりだったのではないだろうか?
サチたちの家族問題は少しずつ解決へ向け動き始めた。次回はサチの両親が直接対決するようだ。
残り何話あるかは未だ発表されていないが、家族問題解決はもちろん「結局は金か…」発言のカウンターも提示されることを期待している。
各話感想一覧
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『日曜の夜ぐらいは…』第8話。新しい人間関係とはこの形が理想か?しかし…理想にしか過ぎずつまらない…
「つまんねぇ人生…」こんなことを言っていた彼女ら。今はそんな影すら見えないほど光り輝いて見える。そんな彼女らが築き上げた人間関係こそ、これからの時代に必要な姿なのではないだろうか?このドラマは「社会派ドラマ」だった。 -
『日曜の夜ぐらいは…』第5話。カフェ経営への第一歩も不安が拭えずつまらない。「視聴離脱」宣言が多い理由は…
「つまんねぇ人生…」誰しもが抱く日々の鬱屈を一発大逆転できる大金でカフェ経営を目指す3人。しかし…明るい将来に輝けば輝くほど、影をさすのが人生。どうしても金の亡者の汚い大人の影がチラホラ見えるのが気になってしょうがない。 -
『日曜の夜くらいは…』第4話。登場人物に感情移入すればするほどつまらない。と言うより辛い…。
「つまんねぇ人生…」誰しもが抱く日々の鬱屈を一発大逆転できる大金を手に入れた3人だが、各々悪い人間(身内)に振り回される鬱展開。番組後半には将来の展望に光がさし笑いあう彼女たちがいたのだが…どうにも安心できないのが怖い。 -
『日曜の夜くらいは…』第3話。容易に想像がつく展開でつまらない!
「つまんねぇ人生…」誰しもが抱く日々の鬱屈を一発大逆転できる大金を手に入れた3人だが、各々過去のトラウマなどにより有効活用できない。そんな中お金の匂いを嗅ぎつけた醜い人間の魔の手が…。悪い人間の見本市展開に少々辟易する。 -
『日曜の夜くらいは…』第2話。なんか…嫌な予感がする!胸くそ展開を想像すると辛すぎて観ていられない…
「つまんねぇ人生…」誰しもが抱く日々の鬱屈をささいな幸せで乗り越えている。登場人物の背景が徐々に明らかになってきたのだが、バスツアーで購入した宝くじが当選。山分けの約束を果たそうとするのだが…なんか嫌な予感がする。 -
『日曜の夜くらいは…』人生につまらなさを感じている我々に刺さるドラマな予感も、第1話は進展なくてつまらない…
「つまんねぇ人生…」そう呟く声がテレビから聞こえ観ることを即決したドラマだったが、これは安易に観てはいけないドラマだったかもしれない…と気づいた時には時すでに遅しである。傷がえぐられるか癒されるか…最後まで観てみたい!
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