展開は想像通り。むしろ「こうなるだろうな…」と思ったら、すぐに回収されるレベル。
こんなのは他ドラマであれば「つまらない」と酷評するレベルであるが、このドラマに関してはちょうどいい。
それはなぜか。そんなストーリー展開を追えるほど気力に余裕がないからである。それほど登場人物への感情移入が過ぎるのだ…。
彼女たちに明るい光が刺せば刺すほど、その後の鬱展開が浮かんできて辛い。
視聴離脱者が続出?
『日曜の夜くらいは…』(テレビ朝日、以下『日ぐら』)の主演は清野菜名で、脇には岸井ゆきのと生見愛瑠。脚本は『ビーチボーイズ』『最後から二番目の恋』(ともにフジテレビ)を手掛けた岡田惠和のオリジナル作品である。
古ぼけた団地、郊外の借家、街中を空しく走るタクシー。時代に取り残され、活気を失い、どことなくもの寂しさが漂うどこにでもある光景に、特筆すべき要素はない。
テレビ朝日『日曜の夜くらいは…』より
ふと普段の生活の中に、こんな哀愁を感じたことはないだろうか?そんな人には刺さるドラマと言っても過言ではない。
初回世帯平均視聴率は5.6%、第2話と第3話の視聴率は今のところ発表されていない。(ビデオリサーチ調べ、関東地区)。
第4話ざっくりあらすじ
楽しかったラジオリスナー限定のバスツアーで意気投合したものの、連絡先を交換せず帰ってきてしまった岸田サチ(清野菜名、以下サチ)と樋口若葉(生見愛瑠、以下若葉)、野田翔子(岸井ゆきの、以下翔子)の3人。非日常の旅を終え、それぞれ「つまんねぇ人生…」と思うような日常へ戻ってしまった。
そのバスツアーで宝くじを1人1枚購入しており、サチが持っていた宝くじが1等3,000万円に当選。山分けするという約束を果たし1人1,000万円を手に入れたのだが、それぞれそのお金を有意義に使うことができずにいた。
サチは離婚して別れた父親がバイト先に現れ、お金に困っていると土下座して懇願。母親が車椅子生活になった時やその後に助けて欲しいとサチがお願いした時、父親は「お金がなかったから…一緒に泣いてあげたじゃん」と悪びれる様子はない。
そんな父親に愛想を尽かしているサチは無碍に断るのだが、どうしても情けを抱いてしまうのか財布から3万円を抜き出し父親に渡してしまった。
若葉の元へは母親・まどか(矢田亜希子)が現れ「ねぇ…お金いるの。だして」「じゃないと私死んじゃうよ」と脅す。これまで何度もこういうことがあり、若葉の祖母(まどかの母)は激しく拒絶し「コ◯してやる!」と包丁を持ち出そうとするが、一枚上手の母親は「包丁は隠しといたよ!」とこれまた悪びれる様子はない。
そんな母親に若葉は全財産が入った通帳を渡してしまうのだが、中身はこれまで貯めていた92万円だけが入っていた。
翔子はマルチまがいの美顔器を売りつけられてしまったり、コンビニの店員に押されて転んだ先にあるカップラーメンを倒してしまい、なぜか弁償する羽目に。
そんななんだか鬱々としている3人は、たまらず連絡を取り合い再会。これまでの鬱憤を出し合い、これから先のことを語り合うのだった……。
これは私だけ狙い撃ちされてるのか?
ネット上では前話までで「胸くそ展開に嫌気がさしたので離脱する」と言った声が多く聞こえている現状。
その気持ちは痛いほどわかる。引き続き今話の前半部分も胸くそ展開が続いており、嫌な気分になったものである。
サチの父親や若葉の母親よろしく、どうして金の亡者たちはお金の匂いを嗅ぎつけて迫り来るんでしょうかね?何も悪いことしていないのに搾取だけされるのなんか馬鹿げていますよ。
しかし「彼女たちの思考が単純すぎ」「3人とも身内にクズがいて可哀想なのはわかるけどさ…価値観とか倫理観が狂ってるよね」「毒親から離れられないもんなんか?」と批判意見が続出しているのもまた事実。
特に今話は、彼女たちがこうまで「幸せ」というものに対して臆病なのかという過去が語られたのだが、そのどれもが痛いほどわかる。わかり過ぎるので辛い。
例えばサチは、母親が車椅子生活になったので学校を辞め働く決断をしたのだが、同級生は心配してくれて色々と世話を焼いてくれるのだが、サチとしてはその好意が気に食わず「優しくされるの嫌、大丈夫とか聞かないでよ」と喧嘩別れしてしまった。謝ろうと思ったが動けず…今では疎遠になっているらしい。
このようなことは若葉にも翔子にもあるのだが、そのどれもが誰しもが一度は経験していてもおかしくない…と言うより私的には「あるある」だったので、より観ていて辛いものとなっていた。
来週も観ていいのかなぁ…
番組後半には彼女たちに明るい希望が刺したのだが、サチの父親はサチの羽振りの良さに違和感を持ち、バイト先のマネージャーに近づくシーンが映されていたので、まだまだ鬱展開が続くのではないかと不安になってしまい素直に喜べない。
ネット上では離脱宣言が続出しているところを見ると、彼女たちと似たような経験をしたものが多いことが想像できる。みんな頑張って生きようね!
あ、本筋とは全然関係ないのですが…『日ぐら』とJRAがコラボした日本ダービーのCMが流れたのだが、その中で「キズナが優勝したのは10年前…」と言ってたことに身震いしたのは私だけだろうか。
もう10年前かよ……。あぁ、月日の流れを実感してまた鬱になってきたわ。
各話感想一覧
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『日曜の夜ぐらいは…』第8話。新しい人間関係とはこの形が理想か?しかし…理想にしか過ぎずつまらない…
「つまんねぇ人生…」こんなことを言っていた彼女ら。今はそんな影すら見えないほど光り輝いて見える。そんな彼女らが築き上げた人間関係こそ、これからの時代に必要な姿なのではないだろうか?このドラマは「社会派ドラマ」だった。 -
『日曜の夜ぐらいは…』第5話。カフェ経営への第一歩も不安が拭えずつまらない。「視聴離脱」宣言が多い理由は…
「つまんねぇ人生…」誰しもが抱く日々の鬱屈を一発大逆転できる大金でカフェ経営を目指す3人。しかし…明るい将来に輝けば輝くほど、影をさすのが人生。どうしても金の亡者の汚い大人の影がチラホラ見えるのが気になってしょうがない。 -
『日曜の夜くらいは…』第4話。登場人物に感情移入すればするほどつまらない。と言うより辛い…。
「つまんねぇ人生…」誰しもが抱く日々の鬱屈を一発大逆転できる大金を手に入れた3人だが、各々悪い人間(身内)に振り回される鬱展開。番組後半には将来の展望に光がさし笑いあう彼女たちがいたのだが…どうにも安心できないのが怖い。 -
『日曜の夜くらいは…』第3話。容易に想像がつく展開でつまらない!
「つまんねぇ人生…」誰しもが抱く日々の鬱屈を一発大逆転できる大金を手に入れた3人だが、各々過去のトラウマなどにより有効活用できない。そんな中お金の匂いを嗅ぎつけた醜い人間の魔の手が…。悪い人間の見本市展開に少々辟易する。 -
『日曜の夜くらいは…』第2話。なんか…嫌な予感がする!胸くそ展開を想像すると辛すぎて観ていられない…
「つまんねぇ人生…」誰しもが抱く日々の鬱屈をささいな幸せで乗り越えている。登場人物の背景が徐々に明らかになってきたのだが、バスツアーで購入した宝くじが当選。山分けの約束を果たそうとするのだが…なんか嫌な予感がする。 -
『日曜の夜くらいは…』人生につまらなさを感じている我々に刺さるドラマな予感も、第1話は進展なくてつまらない…
「つまんねぇ人生…」そう呟く声がテレビから聞こえ観ることを即決したドラマだったが、これは安易に観てはいけないドラマだったかもしれない…と気づいた時には時すでに遅しである。傷がえぐられるか癒されるか…最後まで観てみたい!
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