【ササユリ】『らんまん』4週目。自由を得るには「覚悟」と「犠牲」が必要か?

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あまりにも釣り合わないと思う…

今週もあっという間に終わってしまって、世間はもはやゴールデンウィーク一色ですね。

NHK・朝の連続ドラマ『らんまん』も早4週目。時代が変われど、自由を得るには何かを捨てなければならないことを、改めて思い知らされた週だった。

あらすじを振り返りつつ、今を生きるために必要な教訓を考えてみたい。

目次

花のチョイスに意図はある?

今期の朝ドラ『らんまん』は、「日本の植物学の父」と称されている牧野富太郎さんをモデルとしたNHKの朝の連続ドラマ。主演は神木隆之介、ヒロインは浜辺美波。

各週のタイトルは植物の名前が使用されている。今週のタイトルに選ばれた花は【ササユリ】。花言葉は「上品」「希少」。個人的に花の名前をタイトルにする以上、花言葉が大いに意味をもたらしている…と考えているのだが、今週はどうだっただろうか?

先週は東京で開催される第2回内国勧業博覧会を口実に、槙野万太郎(神木隆之介、以下万太郎)は東京へ。小さい頃から植物を通じて一方的に好意を寄せていた植物学者の野田基善(田辺誠一)に会い、自分がやりたいことは「植物分類学」という学問だと気づくのだが…。

第4週ざっくりあらすじ

万太郎は実家へ戻り、東京での出来事を祖母・タキ(松坂慶子)に報告する。そこで万太郎は「植物への夢はキッパリ諦めて、酒造の当主として生きる」と告げ、タキや姉・綾(佐久間由衣)を安心させる。

しかし、幼い頃から万太郎のお目付け役として行動を共にする竹雄(志尊淳)は、万太郎の本心は違うことに気がついていた。それもそのはずで、東京で酒造の当主という道を捨て、植物学へ心が動いている万太郎に「酒造を捨てるということは私たちも見捨てるということだ」「当主がそんなではついていけない」と不満をぶつけていた。

そんな話を竹雄から聞いたタキも万太郎の本心に気づき、万太郎と綾を呼び出し「おまんら夫婦になれ」と告げた。万太郎と綾は本来はいとこ同士なのだが、兄弟として育てられていたと明らかにされる。

それに動揺した綾は「万太郎は弟じゃ」「私にも好きな相手くらいおったがよ」と飛び出し、万太郎は「私が当主として頑張るから」「『犠牲』になるのは私だけで十分じゃ」とタキに反抗し綾の後を追った。

その頃綾は「好きな相手」とする村人のところへ行くのだが…その相手には既に他の村人と夫婦となっており、綾はその場から駆け出してしまう。「私が酒造りに没頭する間に…」と落胆した綾はそのまま高知へと行ってしまった。

綾の後を追っていた万太郎も高知に着き、神社で自由民権運動の集会を行う政治結社のリーダー・早川逸馬(宮野真守、以下逸馬)と会い、その後意気投合。逸馬に「会わせたい人がおるがじゃ」と連れられてきた先にいたのが、「ジョン万次郎」こと中濱万次郎(宇崎竜童、以下ジョン万さん)だった。

そこで「自由」という言葉に惹かれた万太郎は「鎖を引きちぎって野山に行きたい」と自由に植物を追い求めたい自分がいることを再認識。

植物に興味のある万太郎を見たジョン万さんは、ドイツの医師で博物学者のシーボルトが日本の植物をまとめた本を渡される。それを読んだ万太郎は「これじゃ足りない」「いろいろな季節の絵を描かないとわからない」と外国人が日本の植物をまとめることは無理だと感じた。

「日本の土地に住み絵が上手に描けて、英語で読み書きができ日本の植物を世界に知らせることができる…そんな人間がここにおるがじゃき!」と、自分のやるべきことを確信。実家に戻り大事な話をする決意を固めたのだった。

「自由」を得るための代償とは…

今週の『らんまん』を観て感じたものは、「自由」を得るために何かを捨てなくてはならないのだろうか…ということだろう。

万太郎は植物への興味を強く認識しているにも関わらず、実家の酒造を継ぐためにその夢を諦めなければならなかった。

綾は女性は立ち入り禁止という酒造にも関わらず、酒造りに携わりたいと願っていたら意中の男性を失うこととなった。

タキと対峙した万太郎が「『犠牲』になるのは私だけで十分だ」と言ったのが全てを物語っているだろう。

これは身分制度厳しい当時に限った話ではない。現代社会においても自由に振る舞うためには、地位や名誉、収入や家族など…何かを犠牲にしなくては得られないことの方が多いのではないだろうか?

日本では会社を立ち上げ新規事業に踏み出したは良いが、軌道に乗らず撤収した後に再出発する道が険しいことが多く、諸外国のようにスタートアップ企業の参入・成長がしにくい…などとニュースでも報じられている。

他にも「出る杭は打たれる」「今までがそうだったから…」「それをやって何の意味(利益)がある?」など、古くからの悪しき慣習が旧態依然として残っていることも高い障壁ではないだろうか。

「自由」にやりたいことを求めて一歩踏み出すことが、何かを「犠牲」にして不利益をこうむる「覚悟」の上にのみ成り立つのだとしたら…。「自由」を求めて先人たちが努力してきた結果が今の日本ならば、これほど悲しく腹立たしいことはない。

もちろん秩序の中にある「自由」こそ正当な「自由」だと理解しているが、もう少し寛大な世界になっても良いのではないだろうか。個人が「自由」を追い求めた足掻いた先に、個人や企業、社会にとって利益が生み出される世界こそ皆が求める「自由」なのではないだろうか?

今週の花【ササユリ】の花言葉は「上品」「希少」。「自由」を求める人間の希少さ、「自由」を認めることのできる人間の希少さ…こんなことの象徴だと想像すると、なんとも皮肉の効いたチョイスである。

マモ最高!

私も以前書いたことがあったが、万太郎のように自由にやりたいことがあったが認められず、道を曲げてしまった過去がある。それは今でも悔いが残って仕方がない。

学歴や出身、過去の経歴や雇用形態、性別や年齢など…いかなる点においても抑圧されることはあってはならない。

多様性が叫ばれる現代だからこそ、今一度模索してみたい…と改めて思わせてくれるような『らんまん』第4週だった。

それにしても「万太郎と綾が兄弟ではない」というのには驚いた!それは私だけじゃなかったようで、この発言が出た火曜日の翌日の視聴率が過去最高の16.4%(リアルタイム、関東地区、ビデオリサーチ調べ)だった(笑)

そして、マモこと「顔芸」声優こと宮野真守…相変わらずイケボすぎやしませんかね?そして本人のキャラクターにベストマッチしたキャスティング。これからも登場するのだろうか…楽しみでしょうがない。

各話感想一覧

関本貴仁
運営責任者
20代を広告代理店で過ごし、紙・ウェブ媒体で企画、編集を担当。
現在は運営責任者として『つまおもラボラトリー』の全記事に関する責任監修を務める。
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